【終了】海老名市オーラルフレイル健診の開始

人生100年時代といわれていますが、人生最期の10年(男性9年、女性12年)は要介護の状態となって過ごしていることがわかってきました。私達は剛健の状態から加齢や病気、生活習慣、お口の機能低下などによって、全身的に衰えて(虚弱・フレイル)、要介護の状態になっていくとされています。要介護の状態ではなく生活する期間を健康寿命といいますが、そのためには栄養(食やお口の機能)、身体活動(運動や社会活動)、社会参加(就労や余暇活動)の3つの柱が重要とされています。さらに千葉県柏市の高齢者を対象とした調査(東京大学飯島教授の柏スタディー)にて『奥歯が無くなることがきっかけで食事の量が減ったり、食事が偏ったりすることで全身が虚弱に陥り、要介護状態になっていくこと』がわかりました。噛む、飲み込む、話すなど口の機能が弱くなることをお口の虚弱・オーラルフレイルと言い、
①残っている歯が20本未満、
②噛む力が弱い、
③舌の力が弱い、
④滑舌の低下、
⑤固い食品が食べづらい、
⑥むせが増えてきた、の6項目のうち3項目以上該当するオーラルフレイルの状態になると、健常な人と比べ、要介護のリスク2.35倍、死亡のリスク2.09倍と高くなることがわかっています。そして神奈川県・神奈川県歯科医師会の調査では歯科医院に通院している65歳以上の4人に1人(約25%)がオーラルフレイル該当者という驚くべき結果も報告されていますが、お口の機能を鍛えることで、オーラルフレイルの状態を改善できることも報告されるなど、歯を大切にして良く噛めるという口の機能を維持することが健康長寿に繋がるという研究も増えてきています。

海老名歯科医師会では市民の皆様の健康長寿達成のためには噛む、飲み込む、話すなど口の機能が衰えないようにすること、衰えを早期に発見し介入することが何より大切であると考えています。そこで、オーラルフレイルを早期発見、予防することを目的に海老名市市役所と協力して2019年4月より55才以上の市民の方に対して「オーラルフレイル健診」事業を始めました。今までの成人歯科健診との大きな違いは、舌の圧力や咀嚼能力や発音などを器械で計測し、お口の機能を数値化することです。毎年健診し数値を比較することにより、早期にオーラルフレイルを発見し、衰えた機能を強化するトレーニングを行うことで機能の回復につなげることができます。歯科治療と組み合わせることでオーラルフレイルを防ぎ、高齢になっても自分の口から食事をとることが可能となります。口からしっかり栄養を取ることで、健康でイキイキと社会参加しながら長生きすることが期待できます。
このオーラルフレイル健診は全国に先駆けて行われている健診であり、日本経済新聞に取り上げられるなど他県の歯科医師会からも注目をされています。この健診結果を分析し、市民の健康や歯科医療、日本の医療の発展に役立てていきたいと考えていますので、ぜひ健診にご参加いただければと考えています。